Raspberry Pi PicoのドキュメントによるとSWDデバッグをするにはPicoを2台接続すれば良くて、接続例としてはブレッドボードを2個使用していたけどそれだとさすがにわちゃわちゃしすぎているし、PicoにはLEDが一個しか接続されていないからさすがにI/Oのテストとしてもスイッチとかもいくつかは欲しい。というわけでPicoを2個実装できる基板を作ってしまおうかと考えた。
Seeed Fusionの基板作成サービスだと100mmx100mmなら$4.9+送料でトータル2000円ぐらいで作れてしまうので失敗しても大して懐も痛まない。ホントに良い世の中になった。
以前、基板は作ったことあったのだが5年以上前に1回だけだったのですっかり忘れてしまったので、せっかくだから自分の忘備録もかねてここに手順を書いておくことにする。
・CADのインストール
フリーのCADはいくつかあるようですが、Picoの公式から出ている設計データがKiCADなのと依然作った時もKiCADだったので迷う必要もなくKiCAD一択です。
ここからWindows 64bit版をダウンロードして、インストール。最新版は5.1.9でした。
Picoの部品データが欲しいのでhardware-design-with-rp2040.pdfに載っている「The VGA, SD Card & Audio Demo board」の設計データを落とします。
https://datasheets.raspberrypi.org/rp2040/VGA-KiCAD.zip
・回路図の作成
起動して新規作成するとこんな感じです。
回路図CADを起動します。必要があれば図面サイズなどを変更します。最初に先ほど落としたPicoを含む部品ライブラリを読み込まなければいけないので設定>シンボルライブラリを管理...でライブラリのパスを登録します。1. 部品を配置する
右側のツールバーの上から3番目にある「シンボルを配置」を選択してシート内をクリックすると「シンボルを選択」ダイアログが現れるので左ペインでRPi_Pico>Picoを選択してOKするとPico回路図部品が配置できます。今回は2個実装しますので同じ手順で2個配置します。
その他の部品も同じ手順で配置していきます。
2.配線する
右側のツールバーの上から5番目にある「ワイヤーを配置」を選択して端子と端子を接続していきます。
3.部品のリファレンス番号を設定する
部品を右クリックしてプロパティ>リファレンスを編集...でも設定できますが、最初は「回路図シンボルをアノテーション」を使って自動でリファレンス番号を割り振った方が楽です。
4.ERCで確認する
上部ツールバーのてんとう虫アイコン「エレクトリカル ルールのチェックを行う」を押してダイアログを開きERCを実行します。ただPicoの部品はERCが通るようには設定されていないようなので今回はあまり気にしないことにします。
5.ネットリストを出力する
上部ツールバーのNETアイコン「ネットリストを生成」を押してダイアログを開きネットリストを出力します。
・基板の作成
1.部品ライブラリを読み込む
設定>フットプリントライブラリを管理...でライブラリのパスを設定します。
2.ネットリストを読み込む
上部ツールバーのNETアイコン「ネットリストをロード」を押してダイアログを開き先ほど出力したネットリストを読み込みます。
ライブラリの設定がうまくいっているとここで部品がドカンと出てきます。
うまくいかない場合は回路図シンボルとフットプリント部品の関連付けがうまくいってないので回路図CADの方から「回路図シンボルへPCBフットプリントへ関連付けをする」で開いたダイアログで設定します。
3.外形やネジ穴を書く
左側のツールバーで単位系をミリメートル系に設定して外形Edge.Cuts層に入力します。
右側ツールバーの「寸法線を追加」機能を使うと簡単に寸法を入れることができます。
4.部品を配置する
コネクタとか場所が決まっているものから配置していきます。
5.信号線を配線する。
頑張って引き切ります。
6.シルク位置を調整する
フットプリントのデフォルトの位置だと部品同士が干渉してしまうことが多々あるので一つ一つ調整していきます。
7.べたパターンを作る
Raspberry Pi Picoにはファクトリーテスト用に裏面にパッドが用意されていますが、これに干渉しないように配線禁止のエリアがありPicoのフットプリント部品にはDwgs.User層にべたが入力されているのでこれに合わせてべた禁止領域を設定する必要があります。
8.DRCで確認する
上部ツールバーのてんとう虫アイコンをクリックしてダイアログを開きDRCを実行します。全部配線できていればエラーなしになるはずです。
9.3Dビューアーで確認
表示>3Dビューアーで完成基板のイメージが表示できるので、配線やシルクなどがイメージ通りかを確認しましょう。意外とシルクの不備はこの段階で良く見つかります。
10.ガーバーデータを出力する
上部ツールバーのプロットアイコンをクリックしてダイアログを開きガーバーデータとドリルデータを出力します。
出力されたファイルはまとめてZIP化しておきます。
11.Fusionのサイトにデータをアップロードする。
サイトにアップデートすると完成見本が表示できるので最終確認してOKならカートに入れて発注します。
値段は10枚で$4.9と一番安い輸送費で$14.6、合わせて$19.5でした。
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